及び 閉校式(←クリック:修了者記念写真はHP掲載)
講師 今西 幸蔵氏(天理大学人間学部 教授)
市側Coordinator 榑本主事
支援センター側Coordinator 白井
本日の出席者数 28名(M23 F3+補講聴者2)

しかし、社会が悪ければ個人の生活も面白くなくなる。
わたしたちの人生は限られている。その間、人間として自己実現を果たすことが大切。 その暮らしが社会によって作られていることも否めない。 だからその社会全体をどうするかが課題となる。 今日はそういった形で、まちづくり大学の最後を学んでいただく。
まず わがまちを愛する ことが基本。 それによりまちづくりを通して、暮らしを高め、個人の充実を図る。 まちが豊かな文化を持ち、生きていてよかったと思えることが我々にとった大事であると思う。
市民大学を行政主導で行っているところは全国にたくさんある。しかし住民主導の社会教育大学をしているところは少ない。 おそらく運営の担い手がないのだろう。
さらにその上全国の市民大学のプログラム内容は、多くの場合まだ一般教養が多い。 自治問題を取り上げているところでも、有名講師を招いて政治・経済についての一般教養がほとんど。 当市の場合は、まさに問題をクリアし前進し、行政の考え方を聞きくことからはじめている点が素晴らしい。
住民の課題に切り込んだまちづくりがKeypointとなっており、住民行政の否定でなく、対話する調整として機能している点である。 当市の市民大学は、その点最高レベルで画期的。
そしてここの市民大学は、聞き放しでなく、情報提供や情報交換もあり、まちづくり研究会などの受け皿もあり継続学習もしている。 第一段階として問題を知り、さらにそれを課題として取り組む方向性として、このまちづくり大学は貴重。 相互学習、継続学習のプログラムがきちんとできた学習をしているようだ。

日本の教育には大きな問題がある。 それは知識重視。 しかし狭い意味での知識でしかない。 生活者の視点に基づく知識には不十分である。 これが日本の社会だが、国際社会からの視点では大きな間違い。国際社会では、知識というのは生活するということが知識の背景である。 学校教育の知識は、生活者の視点をもっていない点で不十分である。
文科省では1996年にこれを生きる力と表現しているが、これは国際社会が提議したもの。 国際社会とは、OECD(経済社会協力機構)だが、いきる力の概念を定義。 OECDが提議した理由が二つある。
@ 地球の国際化 そのためには国際的な学力基準が必要
A 経済雇用の問題 流動化する労働者の質と量の問題。 グローバル化すればする程労働者の質が問題化する。つまり、knowledge and Skills for a Life⇒共生共助できる学力⇒文科省のいきる力。
知識の習得を踏まえて創造することが必要とOECDは説く。
知識⇒習得⇒創造⇒資産⇒発達⇒普及⇒活用⇒また新たな知識
この一連の循環が必要であると、国際社会は指摘している。
だが、その判断は、発達Asset資産の積み上げにより皆異なる。
このサイクルが今、国際社会に必要である。
これが国際社会が求める知識基盤社会、つまり、Knowledge Based Society であり、これこそが生涯学習の意味である。
皆さんまちづくり大学で学ばれたことと、人生の発達資産である経験知識をミックスしてそれを普及&活用して実際にまちづくりの場への実際行動を示してほしい。

今世界の社会は地球全体の問題として資源・環境で危機に面している。 50〜60億の人間をどうするかであるが、答えは出ていない。 ローマクラブの結論は、滅亡するか学習するかでしかないとしている。 学習は開発⇒これをしなければ滅びてしまうということである。
資源環境問題のKeyWordは、シェアリング。 みんなで協力して問題解決を図らねばならない。 今Rental社会が大切な要素。 お互いに共有・共生・共助が必要。 これは社会的サービスにも適用。
行政サービスには限度がある。 なんでもする課などあったがこれは論外。
社会的サービス⇒公共を誰が担っていくか、今までは官であったが、それでいいのか? いまや住民こそがその担い手でありそれが住民主権者。
自分たちの暮らしを守るための住民主権は地域主権に連動する。つまり皆が受益負担する考え方が求められる時代となった。 そのために必要なことが、学習であると唱えられており、みんながお互いにSharingする産官学民のプラットフォームの考え方に至ることになる。
そのためには自分自身が主体的に生きる人間であり、そして同時に社会的サービスの一端を担える責任ある住民主権となることが求められている。 このことが政策として示された言葉が⇒市民協働である。

当市の市民協働は2000年頃に始まったが、先駆者は神奈川の横浜市。 これに次いだのが、箕面市。 それを受けたのが大阪狭山市。 しかしその後の展開では、当市が一番進み群をぬいた。
共生共助の官民が対等にお互いに意見を述べ合うことが原則とされ、これを踏まえて協働型市民社会を作ったのである。
そのためには、中間支援組織がキチンと役割を果たさなければならない。
官民協働をうまく機能するには、このまち大を通した学びを、指導者として次の市民活動として、示すことが大切。
次には情報収集と情報の発信が必要である。 当市では広報活動が活発で、当市の広報は全国コンクールでトップクラス。
レジメの3であるが、これからの地域主権には、新しい自治会活動をもって、一元的機能を持つことが大切。 最近の傾向は自治会が集まって総合的な組織を作ろうとする動きがある。
当市には、中学校区単位で住民主権のコミュニティ組織をつくり、まちづくりの方向性もでている。 これが大阪狭山市の新し考え方。
何をするかの選択に優先順位をつけ話し合って、実際に取り組んでほしい。 その中では人権的弱者のフォローは優先し、その他の切り捨てもやむを得ない。 今はそんな時代であることを理解してもらいたい。
今日は市民協働の原理的な話と、学習との関連についてお話した。
質問と関連発言
●生涯学習と市民協働の話があったが、今日のお話で市民協働の理解がすごくよくできた。 ありがとうございました。
●従来の社会構造からすると、新しい考え方を聞いた。 海外の模範を基準とされているようだが、その点如何か?
閉校式模様は⇒こちらをクリック
市民活動支援センターHPに掲載中